「うちの子、こんなにすごいんです!」発達障害の特性が“強み”に変わった瞬間

「うちの子、こんなにすごいんです!」発達障害の特性が“強み”に変わった瞬間

2025-07-15

── ちぃさんインタビュー

「子どもの特性に、どう向き合えばいいのか分からない」 そんな不安を抱えたまま、日々葛藤しているママ・パパも多いのではないでしょうか。特に発達障害やグレーゾーンのお子さんを育てていると、周囲の目や学校生活、育児の困難さに心が折れそうになることもあるはずです。
でも実は、子どもの“困りごと”と思われがちな行動や特性が、そのまま“強み”として輝き出す瞬間があるんです。
今回は、発達凸凹の子どもを育てながら、脳科学・心理学的観点から発信し続けるちぃさんにお話を伺いました。特性を“困りごと”ではなく“才能”と捉えることで見えてきた世界とは——。

■ラベルではなく、サポートへの入り口

ちぃさんのお子さんには発達障害の診断があります。多くの保護者が「障害」とラベルを貼られることに葛藤を感じる中、ちぃさんは「むしろ診断がついて安心した」と言います。
元々看護師としての知識と、鋭い観察眼を持っていたこともあり、1歳すぎの頃から「なんか違うかも」と感じていたそう。診断によって支援に繋がれることにホッとしたと言います。

「診断がついてスッキリしました。あと、“分かってくれる人”がここにいたっていうのが素直な気持ちでした」

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■「できない」我が子への苛立ちと悲しみ

しかし、特性を知ったからといって、すぐに受け入れられたわけではありません。日常生活では「どうしてこれができないの?」とイライラし、自分を責めたり、子どもに怒ってしまったりすることも。

「こっちだって我慢してるのに、なんで分かってくれないの?って。気持ちはどんどん疲弊していました」

■特性が“才能”に変わった瞬間

そんな中、「ケーキ作り」を息子さんと一緒にしてみたところ、息子さんのデコレーションが驚くほど几帳面で美しかったそうです。普段から石を並べるような行動にネガティブな印象を抱いていたものの、それが“繊細さ”や“集中力”という才能に繋がることに気づきました。

「お菓子作りにハマって、息子は“みんなに食べてもらいたい”と夢中になっていったんです」

また、「空気が読めない」と言われがちな息子さんが、実は息子さんなりに“空気を読んで”人を気遣う姿にも気づいたそう。

「私が講演で緊張していたときに、息子が“落ち着いて”ってお菓子をくれたり、みんなに配ったりしてくれて。あのとき、この子は本当にすごいって思いました」

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■環境が変われば、周囲の目も変わる

周囲の接し方やちいさん自身の視点が変わったことで、変化が出てきました。

「以前は“落ち着きがない子”と言われていたのが、今は“優しい子”、“ヒーロー”として見られるようになったんです」

授業中に泣いている子を助けに行く姿や、困っている人に自然に手を差し伸べる行動は、かつて“問題行動”とされていたもの。でもそれが「思いやりの表れ」だと周囲が気づくことで、本人も自信を取り戻していったといいます。

■“できない”ときは、無理にやらせない

特性を伸ばすために、ちぃさんが大切にしているのは「自信をつけること。自信を取り戻すこと」。

「やりたくない、できないというときは、一旦“やらなくていい”を選んできました。まずは、得意なことだけ伸ばす」

お菓子作りが好きで得意な息子さんは、ひらがなが苦手だったそう。そこで、お菓子のレシピを書かせることで自然と書く力がついたといいます。「得意と苦手を組み合わせる」という柔軟な発想が、学びをポジティブなものに変えていきました。

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■挑戦する心を折らないためにできること

「できない」と落ち込むときには、感情に寄り添うことを大切にしているちぃさん。

「“今はできないって思ってるんだね”と認めてあげる。励ましすぎるのは逆効果になることもあるから、本人のタイミングを尊重しています」

無理に挑戦させるのではなく、「最後のこれだけやってみようか?」「ママと一緒にやってみよう」と、成功体験で終われる声かけを意識しているそうです。

■子どもの“ある”に目を向けるために

人の脳には、自分に必要な情報だけを意識にあげるフィルターのような機能があり、自分が信じていたり強く思っていることが目に入ってきます。また逆に、思い込みや価値観によって見えなくなってしまう機能もあります。
だからこそ、意識的にポジティブなことに目を向ける必要があるんです。
「特性にばかり目がいってしまう」——そんな時に、ちぃさんが講座などで伝えているのは「ママ自身が“ある”を見つける習慣を持つこと」。

「まずはママ自身が“私ちゃんと家事できた”、“疲れたけど頑張った”など、自分の感情にちゃんと目を向けてあげる。 そうすれば、子どもの小さな変化や成長にもちろん目が向くし、問題行動の中にも何かこの子考えてることがあるんじゃないかと気づける」

■さいごに

今回は、「できない」に見えていた子どもの特性が、関わり方や捉え方ひとつで“その子らしい強み”に変わっていく過程を、ちぃさんのインタビューを通してご紹介しました。
私たちはつい「できないこと」ばかりに目を向けてしまいがちですが、本当はその奥に“可能性の芽”がたくさん眠っています。
ぜひ今日から、子どもの“ある”に目を向ける習慣をはじめてみましょう。それが、特性を才能に変える最初の一歩になります。

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ちぃさん

発達障害・グレーゾーン・癇癪など、育てづらさに悩む子どもを持つママを支援する講座やSNS発信を行う。ママのマインドを整え、子どもの自主性が育つコツを広く発信中。

ちぃさんの詳しい情報はこちらから

発達障害