── 古村千尋さんインタビュー
「子育ても大切。でも、キャリアも諦めたくない」あなたは、そんな想いのはざまで揺れていませんか?
子どもが生まれたことで、仕事への価値観が変わった。
これまで順調だったキャリアも、両立のプレッシャーの中で「この働き方でいいのかな?」「この先、私はどうしたいの?」と、モヤモヤを抱えてしまう——そんなママたちは、今とても増えています。
今回は、コーチング事業を通じて多くのワーキングマザーの支援をしている古村千尋さんに、キャリアと育児のリアルと、そこから見えてくる“人生の軸”についてお話を伺いました。
■キャリアも育児も、どちらも本気で向き合ってきたからこそ
古村さんのこれまでのキャリアは、まさに挑戦の連続です。
大学卒業後に政府系金融機関へ就職し、国際機関への出向も経験。
その後、ベンチャー企業での勤務を経て、なんと子どもが1歳の時に単身でアメリカのビジネススクールへ留学。翌年には子どもとお母様とともに現地で生活し、卒業後は自身が立ち上げた「CoParents(コーペアレンツ)」でワーキングマザー向けのコーチング事業 に従事しています。
「自分の身を削って自分が不幸せになって子供にイラついたり…
最悪のケースが虐待に繋がってしまう。親自身が幸せを追求することが結果として子供も幸せになる」
“親を幸せにする”をミッションに掲げた彼女の活動は、まさに「働くママのリアル」に寄り添ったものになっています。
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■「両立がつらい」の正体は? モヤモヤの本質に目を向けて
キャリア支援の現場で最も多く寄せられるのは、やはり「両立がしんどい」という悩み。
けれど古村さんは、その言葉の裏にもっと深い問題があるといいます。
「本当にしんどいのは、仕事や生き方が“自分に合っていない”こと。
それを“両立”という言葉でくくってしまって、問題の本質を解決できず迷っている方が多いんです」
たとえば、育休明けに「なんとなく違和感がある」と感じていても、
“両立がつらいから”と働き方を変えると、今度は“やりがいがない”という新たな葛藤に直面する。
このように、「自分は本当はどうしたいのか?」に向き合わないまま選んだ選択は、後に大きなモヤモヤとして返ってくるのです。
■“子どものため”と思って諦める前に——問いかけてほしいこと
「子どもがいるから、仕方ない」
「いまは我慢のときだから」
そう自分を納得させながら、やりたいことを後回しにしているママも多いはずです。
でも、古村さんは静かに問いかけます。
「その選択を、将来“子どものせい”にしない自信がありますか?」
本当に納得して選んだのなら後悔はない。でも、どこかで“あのとき諦めなければ…”という想いが残るなら、それは誰にとっても幸せな未来ではない——
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■キャリアに影響するパートナーや家族——家族の形も、自分で決めていい
現代は、さまざまな家族のかたちがあります。
「仕事も家庭も完璧でなければならない」という思い込みに苦しむ必要はありません。
「理想的な夫婦像や家族像を目指すより、自分は何を大事にしてどっちを選択したほうが幸せか、常に自分基準で考え、後は家族としっかりコミュニケーションをとる」
パズルのように固定された理想ではなく、時間軸とともに変化していく柔軟な関係こそが、現実に合った“幸せな形”かもしれません。
■迷ったとき、立ち返るべき「自分がどう生きたいのかという北極星」
どんなに環境を整えても、人生には迷いがつきもの。
そんな時に大切なのは、「どう生きたいか?」というシンプルで本質的な問いです。
「自分が目指すべき北極星がしっかりしていたら、迷うけど答えを出していけるし自分の選択に後悔はしない」
古村さんは「自分の中にこそ答えがある」と語ります。
だからこそ、自分自身を客観的に見つめる時間を持ち、場合によってはコーチングなど外部の力を借りながら、自分だけの答えを掘り出してほしいといいます。
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■“今すぐ動けない”でもできる——日々の“微調整”が、自分の人生を整えていく
「いきなり転職や部署移動を考える前に、まず“今日のごはんを一品減らす”とか、“子どもをお風呂に入れる順番を変えてみる”とか、そういう小さな微調整でも、随分、楽になるんです」
忙しい日々の中で、「何か大きく変えなきゃ」と思い詰めてしまう前に、
まずは自分の生活に合った“ちょっとした工夫”から始める。
それだけで、肩の力が抜けていくのを感じるかもしれません。
■【さいごに】
「子育てとキャリア、どっちを取るべきか?」と悩む必要は、本当はないのかもしれません。
大切なのは、「私はどう生きたいか?」という視点ではないのでしょうか。
今回は、古村千尋さんのインタビューを通して、
“両立”という言葉の奥に隠れた、本当のモヤモヤや違和感に気づき、
そこから抜け出すためのヒントがたくさんありましたが、いかがでしたでしょうか?
ぜひあなたも、答えを急がず、小さな微調整と自分への問いかけを繰り返しながら、
“あなたらしい生き方”を、少しずつかたちにしていきましょう。

古村千尋 さん
株式会社CoParents代表
大学卒業後、政府系金融機関・国際機関・ベンチャー企業にてキャリアを重ねたのち、子育て中に米国のビジネススクールへ留学。自身が立ち上げた「CoParents」では、育児と仕事の両立に悩む親たちを対象に、キャリア設計や自己理解に伴走するコーチング事業を行っている。
「親が幸せになることが、子どもを幸せにする」という信念のもと、多様な家族の在り方と個人の生き方を支える活動を続けている。
現在は1児の母として、自身も“日々の微調整”を実践しながら、リアルな気づきと視点を発信中。
Instagram:@chihiro_komura_coparents